インターネットの「クチコミ」との付き合い方

 インターネットの「クチコミ」が消費者の購買行動に与える影響力が強まるとともに、広告の影響力が弱まっています。「クチコミ」とうまく付き合うためのキーワードとなるのが「誠実」です。

 「クチコミ」の影響力を示す言葉に「AISAS」があります。消費者の購買行動を示す言葉で「A=attention(注目)」して「I=interest(興味)」を持ち、「S=search(検索)」して「A=action(購入)」して、「S=share(共有)」する、という流れを示しています。ある商品・サービスに注目し、興味を持ったらインターネットで調べる。そして、購入して使ってみたらその感想(情報)をインターネットのクチコミサイトやSNSを通じて発信する(クチコミする)ということを表しています。

 「S=search(検索)」で消費者が参考にするのが「クチコミ」です。消費者は「売り手」が発信する情報(広告)を鵜呑みにすることはありません。そして「広告」よりも、自分と同じ消費者が発信する「クチコミ」を信頼する傾向があります。そこにあるのは消費者どうしの連帯感です。

 実際、本をAmazonで購入する際、私はまず「カスタマーレビュー」を読みます。投稿件数が少なく、低評価のレビューが多い本と投稿件数が多く、高評価のレビューが多い本、どちらを選ぶか迷ったとき、間違いなく後者を選びます。

 消費者の行動に大きな影響を及ぼす「クチコミ」ですが、どうすれば「クチコミ」とうまく付き合っていけるのか。そのキーワードとなるのが「誠実」です。「誠実」とは「嘘偽りのないこと」。つまり、事業者が発信している情報と提供している商品・サービスに整合性がとれているかということです。

 低評価のクチコミを見てみると、「事業主が言っていることと、提供された商品・サービスが違う」と感じたときに激しい怒りの「クチコミ」を投稿しているケースが多いと感じます。つまり消費者が「看板に偽りあり」と感じた時に厳しいクチコミを投稿するということです。もちろん「誠実」な対応をすれば信頼が生まれます。商品・サービスの広告をする場合、メリットだけでなくデメリットもしっかりと伝える、クレームがあればきちんと対応するといった対応が信頼を生みます。

 Googleの場合、投稿された「クチコミ」に対して事業者がコメントを返すことができる「オーナーからの返信」という機能があります。これにより、事業者は投稿された「クチコミ」をただ眺めているだけでなく、積極的に対応すること、すなわち「接客」をすることが可能になりました。高い評価をいただいたら、「ありがとうございます」と、クレームと言っていいような低い評価に対しては「ご指摘頂きましてありがとうございます」「期待に添えず申し訳ありませんでした」と返答できます。

 ネットでもリアルでも、「接客」が大切です。

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マクドナルドの心理戦

  マクドナルドの接客時間は短い。一人あたり一分もかかっていないんじゃないでしょうか。生産性を高めるために接客時間を 一 秒でも短くしたいという経営側の意思が伝わってきます。

 マクドナルドは入り口正面にカウンターがあります。座ってのんびりメニューを見て考える余裕はありません。前の客が注文している時間が、メニュー選択のために考える時間となります。

 カウンターの上の壁にはおすすめ商品(キャンペーン中の商品)とセットメニューが写真付きで掲示されています。単品の価格が書いていません。並んでいる間にセットメニューにするか単品で注文するか決めるよう促されます。

 注文する際、カウンター越しにスタッフと正面から向き合うので心理的に圧迫され、早く注文を終えたいという気持ちになります。後ろで待っている人のことも気になります。こうして自分の番が回ってきたらすぐに注文しなければいけないようなプレッシャーにさらされます。

 また、選びやすいようにメニュー数は少なく、定番商品がほとんどなので思いつきで注文しても後悔しないようになっています。

 重要なのは早く注文するようせかされているにもかかわらず、客は店からプレッシャーをかけられているという実感がほとんどないことです。このあたりの巧みさが世界的なチェーン店に発展した理由でしょう。

 マクドナルドがやっているような、顧客の心の深い部分と向き合い、無意識に行動するよう促す仕組みを研究することはとても勉強になります。

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なぜか入りにくいお店

 なんとなく入りにくいお店というのがあります。物理的に入りにくいのではなく心理的に入りにくいお店です。これにはスタッフの存在が大きく関わっています。

 カウンターで区切られたスタッフ専用のスペースがあり、スタッフは基本的にこのスペースにいるお店。スタッフ専用のスペースがなく、スタッフと客が同じスペースを共有するお店。どちらが入りやすいかと言えば、間違いなく前者です。スタッフはカウンターの中にいる、というのは客にとって大きな安心となります。

 たとえカウンターがあったとしても、入り口正面にカウンターがあってスタッフと正面から向き合ってしまうお店も入りにくいお店です。このようなお店はまるで門番が守っているような近寄りがたい雰囲気を醸し出しています。コンビニエンスストアは入ってすぐのところにカウンターがありますが、スタッフと正面から向き合う構造になっている店は見たことがありません。

 親しくない人と正面から向き合うのは苦痛です。恋人同士でさえ、正面から向き合うテーブル席よりも横に並んで座れるカウンター席を選びます。このように考えていくと、スタッフも「お店の見た目」の一部であることがわかります。

 私の支援先で店の前に陳列してある商品をスタッフが整理しているとき、つまり店の前を歩く通行人にスタッフがおしりを向けているときに客が店に集まることを発見しました。不思議なことに、誰もいないときより通行人が集まっていました。スタッフが通行人の方を向くと客は寄りつきもしません。

 通行人は商品を触っているのがスタッフであることがわかっていても、誰も居ないときに比べると商品が気になってしまい、寄ってくるのです。

 人間の心理というのは実に不思議で興味が尽きません。

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消費者心理を理解する技術

 マーケティングは消費者心理、すなわち誰かの心に働きかけることによって、こちらが望む行動(購買行動など)を促すものです。やっかいなのは、他人の心というのはブラックボックスであり、誰も直接確認することはできないことです。

 唯一、直接確認できるのは自分の心の限られた一部だけです。以前、印刷会社にチラシの制作を頼むとさっそくデザイン案が届きましたが、とてもそのまま使えるものではありませんでした。

 印刷会社の立場からすると、最初のデザイン案は「たたき台」なので真剣にデザインをするのは時間の無駄なのでしょう。実に合理的です。私はそれを「やる気がない」と感じてしまいました。デザイン案から「言われたとおりに適当に作っただけ」というオーラが感じられたからです。
 その後、打ち合わせを重ねると見違えるようなデザインになりました。やる気はあったのです。

 消費者心理の理解力を高める上で大切なのは、最初に「やる気がない」という印象が心に浮かんだことを見逃さないことです。心に浮かんでは消える感情を把握し、自分の中にある「消費者心理」を理解し、分析することでマーケティング能力は磨かれます。

 「なんかいいな」「なんかいやだなあ」という心に浮かんだ様々な感情をそのままにせず、捕まえて分析する。感情を分析するにはとにかく自分の感情を言語化することです。自分が感じたこと、心に浮かんだことを紙に書くといいでしょう。

 プロの作家が心に響くするどい発言ができるのは、日頃から紙に書いて自分の心の中を言語化しているからです。日記を書くことも自分の内面を言語化する優れたトレーニング方法です。

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外部環境分析と潜水艦のソナー

マーケティングをする上で避けては通れないのが外部環境分析です。分析とはいえそこに「行動」が伴うことで成果が生まれます。外部環境分析について、潜水艦の仕組みと照らし合わせて考えます。

 海の中で視覚は頼りになりません。そこで潜水艦は音波で物体を探知する装置(ソナー)を使って周囲の状況を確認します。魚群探知機もソナーの一種です。

 潜水艦のソナーにはパッシブ・ソナーとアクティブ・ソナーの2種類が存在します。パッシブ・ソナーは聞き耳を立てて周囲の状況を探ります。マイクで音を拾うイメージです。アクティブ・ソナーは自ら音波を発し、物体に当たって帰ってくる反響で周囲の状況を探ります。潜水艦はこの2種類のソナーを使い分けることで周囲の状況を詳しく知ることができます。

 マーケティングの外部環境分析もパッシブ・ソナーとアクティブ・ソナーのようにパッシブ(受動)とアクティブ(能動)の2種類を使い分けることが重要です。

 外部環境分析におけるパッシブ・ソナーとは、業界紙や官公庁・金融機関が提供する統計データ、インターネットでの情報分析などが該当します。世の中にある情報を収集して今、世の中で何が起こっているのか、市場・競合・顧客といった視点で分析します。

 外部環境分析におけるアクティブ・ソナーとは、自分が動いてみて周囲の反応を見ることです。新商品を期間限定で販売してみる、展示会に出展してみる、クラウドファンディングで販売する、営業マンが試作品を顧客に持ち込んで顧客の反応を見るなどです。

 これってビジネスの基本である「PDCAサイクル」そのものです。「PDCAサイクル」とは、「PLAN(計画)して、DO(実行)して、CHCK(評価)して、ACTION(改善)する」というサイクルを繰り返しながら事業を展開することです。

 市場に対して何らかの行動を起こせば、何らかの反応が得られます。たとえ無反応であったとしても、無反応という反応が得られたわけですから失敗ではありません。なぜ無反応だったかを検証して次ぎの行動に生かせばいいのです。

 コンサルの現場ではアクティブ・ソナーが不足している企業が多く見られます。失敗しないように慎重になっていることがその原因です。環境分析の一環としてではなく、営業活動として考えるから「失敗してはいけない」と自らを縛ってしまうのです。こんなもったいないことはありません。

 アクティブ・ソナーをうまく使えば、もっと外部環境分析の精度が上がり、マーケティングの成功確率が高まります。

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看板は集客のために存在する

  看板は集客のために存在します。表札ではありません。「〇〇商店」と書いただけの看板では集客力は期待できません。看板が集客ツールとして機能するためにはまず、何の店か?を伝えることです。

 セブンイレブン、マクドナルド、吉野屋など全国的なチェーン店は「コンビニ、ハンバーガーショップ、牛丼屋」などと書かなくてもロゴマークだけで集客できるので何の店か書いていないだけです。ブランドが確立しているからできることです。

 もちろん「何の店か」わかるだけでなく、店舗コンセプト「①誰に(ターゲット)、②どのような価値を(商品・サービス)、③いくらで(価格)提供しているのか」まで伝えることが理想です。

 1枚の看板にすべてを盛り込むのは無理があるので、看板以外にのぼり旗やタペストリー、お店の外観など「お店の見た目」全体を1つの看板として考えるといいでしょう。

 大切なのは「看板は集客のために存在する」という認識です。

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『1秒で刺さる書き方』レビュー

  140文字という制限があるツイッターに「刺さる」文章を投稿するにはどうすればいいか考えるために読みました。なるほど、と思ったのは「誰よりもリアルな映像を思い浮かべ、誰よりも大きな喜怒哀楽を持つ。」という項目です。  「書き手が思い浮かべている以上の映像は、読者には浮かばないのです」と言い切っています。

 以前、私は当時娘が通っていた幼稚園の文集に寄稿したことがあります。幼稚園の先生への感謝の気持ちでいっぱいになり、泣きながら原稿を書きました。読んだ人から「何度も読み返しました」という言葉をいただいたときは本当にうれしかったことを覚えています。このとき、文章はあふれるような想いや感情があることが前提であり、テクニックはそれを伝えるための手段に過ぎないのだと思いました。

 野球のイチローやサッカーの本田圭佑選手、テニスの錦織圭選手の小学生時代に書いた作文がネット上で見ることができますが、どれも心に響くものがあります。それだけ強烈な想いが込められているからです。

 文章を書くのが苦手、という人におすすめの本です。

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facebookで集客する(実店舗の場合)

  実店舗がfacebookで集客しようとしてうまくいかず悩んでいるという相談があります。投稿内容を見ると、お店の日常を画像つきで紹介しているケースがほとんどです。このような投稿はお店の存在を思い出してもらうには効果的かもしれません。「しばらくぶりにお店にいってみようかな」と思ってもらえるからです。

 しかし、これではお店に行く理由を提供するには力不足です。facebookの投稿を見る人はすでにお店の魅力を知っているからです。お店の日常を伝えても新鮮味は少ないでしょう。

 facebookで集客したいなら「すぐにお店に行かなきゃ」と思ってもらえる情報。「期間限定商品の販売情報」「お得なキャンペーン情報」などを発信するのが効果的です。

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「通販生活」を分析してみる

 通信販売カタログ誌の「通販生活」の記事を読み比べてみると、商品の魅力を伝えるための「型」を学ぶことができます。

 「通販生活」の記事の構成を分析してみると大体次のような要素に分類できます。

①明確な顧客像
 「○○でなければだめ、という人には本製品をおすすめする」のように誰のどんな悩みを解消する商品なのかを明示しています。

②商品説明
 その商品がもたらす「メリット」とそのメリットが提供できる「理由」を解説しています。商品の材質や大きさといった仕様を記載することで、実際に購入した人が「イメージと違う」といった不満を持たないよう配慮しています。

③権威者による裏付け
 ○○大学教授といった権威者から、商品の効用を裏付ける客観的な情報を提供しています。

④一般ユーザーからの声
 一般ユーザーが顔写真付きで登場し、「60歳・女性・腰痛に悩んでいる」など詳しい属性を明示したうえで対象商品からどのような満足が得られるのか、体験談を通して説明しています。

⑤製造元の説明
 製造元が信頼できることを解説しています。

⑥読者が抱くであろう疑問の解消
 身長○センチでも問題なく使える理由を解説するなど、読者が抱く疑問の芽を摘み取っています。

 上記のような紙面の構成には通販のプロが長年蓄積した膨大なノウハウの結晶です。このような「型」を学ぶことは時間と労力の節約になります。まさに「学ぶ」=「真似る」ことだと言えます。

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意識しないと見えない

  いつも通っている道で、ビルの取り壊しがあったとき「このビルの1階のテナントって何屋さんだったかな?」と思ったことはないでしょうか?

 私はしょっちゅうあります。これはお店が風景に溶け込んでしまい、見えているのに脳が認識しないせいで起こります。

 脳は目に見えているものすべてを記憶しているのではなく、関心のない情報は存在しないものとして無視します。

 お店の経営者は「看板あるからみんなお店のことは知っているはず」と思いがちですが、それは間違いなのです。

 支援先のお店でが「近所の人に聞いたら誰もお店があることに気づいていなかった」とショックを受けている経営者がおられました。

 風景に同化しないようにするには「変化」をつけること。

 マクドナルドなどのチェーン店は、継続してキャンペーンを開催し、店の前で告知することで「変化」をつけています。

 脳は「変化」に敏感なので意識にひっかかります。

 お店を風景に同化させないためには、継続した努力が必要なのです。

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私の読書法

 本を読むとき、私はポストイットを使います。読み進めながら心に引っかかったところにぺたぺたと貼ります。読み終わったら、ポストイットを貼った文章をパソコンに入力します。

 5年ほど前から続けてきて今では500冊近くのデータがたまっています。

 わざわざこんな面倒なことをするのは、本の内容についてじっくりと考える時間を確保することが目的です。忘れないためにやっているわけではありません。

 というのは、私の場合、本を読んでいるとつい先へ先へと読み進めてしまい、「自分の頭で考える」ということがおろそかになる傾向があるからです。

 「この部分は○○のとき使えるな」とか「筆者の言っていることは間違いではないか」などと考えながらキーボードに打ち込んでいく。そうすると、自分の思考が深まっていくのがわかります。

 情報を頭に入れるだけなら速読はできたほうが効率的なのですが、「自分の頭で考える」ための読書にはある程度の時間が必要なのです。

 そして「自分の頭で考える」時間こそが、最も生産性の高い時間です。

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