開幕間近に迫った大阪・関西万博が危機的状況にある。チケットが売れないのだ。現在のチケット販売枚数は約800万枚。そのうち企業の購入が700万枚。損益分岐点となるのは1840万枚というから悲惨な状況だ。
チケットが売れない原因として、海外パビリオンの工事が間に合いそうにないだとか、目玉が何かわからないとか様々なことが指摘されている。
私は、万博のテーマとなっている「いのち輝く未来社会のデザイン」が時代の空気に合っていないことが大きな原因のひとつではないかと考える。
ようやくコロナ禍が沈静化したと思ったら、猛烈な物価高に追い打ちをかける増税。なのに所得は増えない。少子高齢化は止まりそうになく、人不足が深刻。移民による社会不安は増大中。日本はこれからますます貧乏になるとメディアは危機感をあおる。未来に対する不安は高まる一方である。こんな状況で「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに心躍らせることは難しいだろう。
万博の開催が決まったのが2018年。新型コロナウイルスが世界中を混乱させる2年前のことだ。7年という時間が世界を一変させてしまったのだと実感する。
これだけ時代の変化が激しい時代に7年という長い時間を費やして開催するようなイベントはこれから難しいのではないかと思う。