「わかったつもり」はやっかいだ。
自分は「わかっている」と自覚した瞬間、思考が停止してしまう。
相手の話を聞いても耳に入らなくなる。
本を読んでいたら、読み飛ばしたくなるし、意識しなくても読み飛ばしていたりする。
わかっていることについていちいち考えたりしないのは、人間が脳という限りある資源を有効活用するためには有効だ。
わかっていることは無視して、わかっていないことに集中することで人は効率的に行動できる。
ただ、本当はわかっていないのに、「わかったつもり」になるのは危険だ。
そのことをこの本はこれでもかと懇切丁寧に教えてくれる。
特に冒頭で事例として紹介されている「もしもしお母さん」という短編はすばらしい。自分がいかに「わかったつもり」になっているかが理解できる。
実はこの本は数年前に一度読んだことがあるのだが、「もしもしお母さん」の事例を読んで自分がいかに「わかったつもり」になっていたかを知って衝撃を受けた。
それ以来、本を読むにしろ人と会話するにしろ、自分が「わかったつもり」になっていないか考える癖がついた。
この本がきっかけでクリティカルシンキング(批判的思考)について学び、今までより深く物事を考えるきっかけになった。
私を成長させてくれた本だ。