読書を通じて思考を深める方法について具体的かつわかりやすく解説している本。「複眼」とあるので多面的に考える方法が身につく画期的な方法があるのかと期待して読んだけど、どちらかという「批判的な思考方法(クリティカルシンキング)」に重点が置かれているような印象を受けました。
多面的に考える方法を身につけるには多面的に考える習慣が身につくように日々トレーニングを重ねることが最善なのでしょう。
一方、批判的な思考方法(クリティカルシンキング)についてはかなり具体的に記載されており勉強になりました。
(1)著者を簡単には信用しないこと
(2)著者のねらいをつかむこと
(3)論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと
(4)著者の前提を探り出し、疑うこと
という4つの項目はなるほどと感心しました。
何事も「疑ってかかる」ということが「考える」という行為と密接なつながりを持っていることがわかります。
余談ですがこの本を読んでYahooニュースに掲載されていた記事を思い出しました。ある小学校の先生が「先生の言っていることが本当のこととは限らない。疑ってかかりなさい。」と子どもに言ったことに対し、保護者がもう猛反発したという内容です。この先生は批判的な思考方法(クリティカルシンキング)の重要性を語ったつもりだったのでしょうが、それを理解できない保護者が「そんなことを言ったら子ども達は何を信じればいいんだ」と反発して大事になったようです。批判的な思考方法(クリティカルシンキング)というのは説明の仕方を間違えるととんでもない反発を受けます。
この記事を書いた記者は文章のプロですから、クリティカルシンキングについて当然わかっていてこの記事を書いたはずです。ひどいですね。
気の毒な先生だと今でも思います。