「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野啓一郎:著)を読んだのでさっそく実践してみました。
やってみてわかったのは、スロー・リーディング(ゆっくり読む)はディープ・シンキング(深く考えること)につながっているということ。
選んだのは「金閣時」(三島由紀夫:著)。
私には難解すぎて過去2回途中で挫折した苦い思い出がある本です。
スロー・リーディングを意識して、数ページ読んでは立ち止まり、作者が伝えたいことは何だろうと考えながら読みました。
当然のことながら、難解すぎて何がなにやらさっぱりわかりません。しかし、立ち止まって考えることで「ひょっとしたらこの場面で作者が伝えたいのは○○ということではないか」という気づきが何度もありました。
それが正しいのか間違っているのかは気にせず、自分なりの解釈ができればOKとしました。
そうして読み進めると、あれほど退屈だったストーリーに躍動感のある面白さが感じられるようになりました。
登場人物が何を考え、何に苦しみ、何故のそのような行動をするに至ったのか、考えれば考えるほど物語の世界に引き込まれました。
驚いたのは仕事や生活、社会問題といった小説以外のことについて自然と深く考えるようになったことです。
自分の思考が今までよりも深いものへと変わっていることを実感しました。
今まで小説をさらさらと読み流して「あ~おもしろかった」で終わっていたことが悔やまれます。
人間は「深く考えよう」と思ったからといって深く考えることができるようにはなりません。
「深く考える」にはどうすればいいのかわからないからです。
スロー・リーディングはディープ・シンギング(深く考える)の最良のトレーニングなのではないかと思います。