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「あるはずのものがない」ことに気づく

「なかったものがある」ことに気づくのはよくあること。「新しいお店ができた」というのがわかりやすい。

だが、「あるはずのものがない」ことに気づくのは難しい。

この冬、公園の横を通るときに「何か足りない」と思っていたけどようやく気づいた。冬の渡り鳥であるツグミの姿が全くないのだ。ロシアから渡ってくるツグミは私のお気に入り。ムクドリより少し細身でキビキビと公園を歩く姿がユーモラスで何とも言えず可愛い。

毎年冬になると、たくさんのツグミが公園で餌を探してうろうろしているのが当たり前の光景だ。

このちいさな身体で毎年、ロシアからはるばる日本にやってくるのだから恐れ入る。春から夏にかけてロシア内陸部でどんな暮らしをしているのだろうと想像するのは毎年の私の楽しみだ。

そのツグミが今年は全くいない。ロシアで何かあったのだろうか?来年は帰ってきてくれるだろうか?

なぜ2月になるまでツグミがいないことに気づかなかったのだろう。

ロシアからの大冒険を成し遂げたにもかかわらず、平然と街に溶け込み、春になれば知らぬ間に去って行くツグミ。

その生き様に敬意を払いたい。